RM法は、効率良く筋肉をつけるには非常に重要な要素です。
「トレーニングセットをどのように組めばいいのか分からない」
「無理してケガもしたくないし、最適な重量って個人でも分かるの?」
トレーニングを始めたばかりの方の中には、このような悩みを持つ方も少なくないでしょう。実はこれ、「RM法」を知れば全部解決できます。
今回は、トレーニングセットや最適な重量が分からない問題を「RM法」で解決する方法を紹介していきます。
この記事を読むことで、毎日のトレーニングがより効率の良いものとなり、最速で魅力的なボディを目指すことも可能です。それではさっそく見ていきましょう。
RM法とは
RM法とは、設定したウェイトの重量を「最大何回上げられるか」によって、最大の運動強度を判断する方法です。RMは「Repetition Maximum(レペティション・マキシマム)」の頭文字をとっており、日本語で書くと「反復可能最大重量」となります。
例えば、「10RM」であれば「10回持ち上げることが限界の重量」、「30RM」なら「30回持ち上げることが限界の重量」ということです。
このように、個人の筋力とウェイトの重量に応じて最適なRMを設定すると、効率的にトレーニングが可能となります。
それでは、この「個人に最適なRM」とは何を目安にすればよいのでしょうか。次の章から、最適なRMの見つけ方について解説します。
RM法の目的別の強度
目指すボディによってトレーニングの目的は以下の3つに分かれます。
・筋持久力アップ
・筋肥大
・最大筋力アップ
これらの目的に応じて、最適なウェイトの重さや回数は変化します。まず、以下の表をご覧ください。
強度(%) (最大筋力に対する割合) |
RM(最大反復回数) | トレーニングの目的 |
100 | 1 | 筋力アップ |
95 | 2 | |
93 | 3 | |
90 | 4 | |
87 | 5 | 筋肥大 |
85 | 6 | |
80 | 8 | |
77 | 9 | |
75 | 10~12 | |
70 | 12~15 | 筋持久力アップ |
67 | 15~18 | |
65 | 18~20 | |
60 | 20~25 | |
50 | 30~ |
この表は「1RM=1回だけ持ち上げられる重量の100%」となっており、それを基準にして限界の反復回数を知ることができます。
例えば、「1RM=100㎏」であれば、60%の重量は60㎏となります。60%に対して設定されたRMは20~25回なので、「60㎏のウェイトであれば20~25回上げられる」ということが分かるのです。
それではそれぞれの目的別にRMの設定数を見ていきましょう。
筋持久力:16RM〜

筋持久力を強化したい場合は、15回以上持ち上げることで限界が来る重量を設定します。表で確認すると、重量が軽くなるにつれて筋持久力の強化に効果的だということが分かります。
筋肥大:6~15RM
筋肥大を目的とするのであれば「高強度なトレーニング」が重要です。表を確認すると1RMの75~87%の回数が最適だということが分かります。5~12回の反復で限界の来る重量をセットしましょう。
しかし、近年では「総負荷を高めたトレーニング」でも筋肥大の効果が得られるという研究結果が発表されています。総負荷とは「重量×挙上回数×セット数」で表されます。
「10㎏を100回」と「20㎏を50回」行った場合の総負荷は、どちらも1,000㎏であるため、筋肥大の効果は同じだということです。
2012年に、カナダのマックマスター大学で以下の検証が行われました。
まず、あるグループを「80%の強度で行うグループ」と「30%の強度で行うグループ」に分け、脚のトレーニングを行います。どちらのグループも、限界が来るまでセットをこなしました。
もちろん、低負荷のグループは高負荷のグループに比べて、多くの回数をこなせます。この検証を長期間に渡って行った結果、どちらのグループも筋肉量が増加し、その増加量に差がつくことありませんでした。
今まで、筋肥大は重量によってのみ効果が得られることが一般論でした。しかし、この結果により低強度のトレーニングでも総負荷量を増加させれば、高強度のトレーニングと同等レベルの筋肥大が期待できるということが検証されました。
この検証により、現在では「低強度でも回数をこなせば筋肥大が見込める」という認識となっています。
H3 最大筋力アップ:1~5RM
最後に筋力アップに最適なRMです。より重い重量を持ち上げるようになるためには、1~5回で限界がくる重量を扱いましょう。
ただし、いきなりの高重量は関節を痛める危険性があります。トレーニングに入る前のウォーミングアップをしっかり行うことがおすすめです
RMの計算方法
RMは計算式に当てはめることによっても分かります。ここでは、日本でメジャーに使用されているO’Conner(オコナー)の式を見ていきましょう。
計算式: 1RM=重量×回数÷40+重量
例えば「50㎏」をベンチプレスで3回上げられるとしましょう。この式に当てはめてみると、「50㎏×3回÷40+50㎏」となり「1RM=53.75㎏」となります。
この場合の最大挙上重量は53.75㎏ということです。
また、この最大挙上重量が分かると、持ち上げたい回数に最適な重量を求めることができます。下記の計算式に当てはめていきましょう。
計算式: 最適な重量=最大挙上重量÷{1+(持ち上げたい回数÷40)}
先ほどのベンチプレスの最大挙上重量「53.75㎏」を例にしてみます。筋肥大が目的のため8回上げたいと考えています。この場合、最適な重量は何㎏なのでしょうか。
先ほどの計算式に当てはめると、「53.75㎏÷{1+(8÷40)}」となり「最適な重量=約44㎏」となります。
最大挙上重量「53.75㎏」の人が8回ベンチプレスをしたい場合の最適な重量は「44㎏」ということです。
このように、それぞれの式に当てはめることで「最大挙上重量」と「最適な重量」を求めることができます。
自分のRMを理解することは効率的な筋肥大にも直結することです。トレーニングセットを組む場合は、1度計算してみましょう。
RMを用いたトレーニング例
それでは、ここからはRMを用いたトレーニングセットの例を紹介していきます。ひとつの種目につき、「筋持久力・筋肥大・筋力アップ」それぞれ分けて紹介します。さっそく見ていきましょう。
上腕二頭筋
アームカール 最大挙上重量16㎏
・筋持久力 10㎏×20レップ 3セット
・筋肥大 13㎏×8レップ 3セット
・筋力アップ 14㎏×4レップ 3セット
インクラインダンベルカール 最大挙上重量13㎏
・筋持久力 8㎏×20レップ 3セット
・筋肥大 10㎏×8レップ 3セット
・筋力アップ 11㎏×4レップ 3セット
大胸筋
ベンチプレス 最大挙上重量120㎏
・筋持久力 80㎏×20レップ 3セット
・筋肥大 100㎏×8レップ 3セット
・筋力アップ 109㎏××4レップ 3セット
ダンベルプレス 最大挙上重量40㎏(片手)
・筋持久力 26㎏×20レップ 3セット
・筋肥大 33㎏×8レップ 3セット
・筋力アップ 36㎏××4レップ 3セット
大腿四頭筋
ハイバースクワット 最大挙上重量150㎏
・筋持久力 100㎏×20レップ 3セット
・筋肥大 125㎏×8レップ 3セット
・筋力アップ 136㎏××4レップ 3セット
これらのトレーニングセットは、計算式に当てはめてレップ数を出していますがあくまで1例です。トレーニングの経験や、筋力によってレップ数は上下する可能性もあります。
必ずしも計算式から出た結果が正しいとは言えないのも事実です。実際にトレーニングに組み合わせる中で、自分に最適な重量や回数を見つけてみましょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか。RMは「持ち上げられる最大重量」「持ち上げられる最大回数」を数値で知ることができます。適切な重量や回数を知ることは、効率的に筋肉鍛えることにも繋がるため重要な要素のひとつです。
無理な重量を扱うことはケガをする危険性があります。また、筋肥大が目的なのに回数ばかり追い求めてしまっても、効率的なトレーニングとはいえないでしょう。
また、トレーニングの種類によってもRMは変化するため、そのつど確認することも大切です。自分にとっての最適な重量、最適な回数を知り、いち早く目標とするボディを手に入れましょう。