「カーボローディング」という言葉を知っていますか?日々、運動に励む人やアスリートの方にとっては身近な言葉かもしれません。
しかしながら読者の方の中には、「カーボローディングなんて初耳」「そんな横文字検討もつかない」と思う人もいるでしょう。
そこで今回は、基本的なカーボローディングの仕組みやその効果、カーボローディングを行うにあたっての正しい食事法などをご紹介します。
目次
カーボローディングとその仕組み
カーボローディングとは、簡単に言うと「力を最大限に発揮するための食事法」のことです。
長時間パフォーマンスを続けるには、それなりのエネルギーが必要です。パフォーマンス中にエネルギーを切らしてしまわないよう、効率的に栄養補給する方法がカーボローディングなのです。
その名の通り、炭水化物(カーボ)を自身の運動量と兼ね合わせてたくさん蓄える(ローディング)食事方法を指します。

炭水化物は、そのほとんどが糖質からできています。これが体内で消化されることによって、血中グルコースというエネルギーへと変化します。そしてその残り分が、筋肉と肝臓へグリコーゲンというエネルギー源となります。
スポーツで長い時間、体を動かし続けると、このグリコーゲンの消費量が多くなってしまいます。そのため、しっかりと長時間パフォーマンスをし続けるために、筋肉や肝臓に十分にグリコーゲンを蓄えておく必要性があるのです。
それを可能とするのが、カーボローディングという食事法です。
カーボローディングを行えば、筋肉中のグリコーゲンは最大約3倍、肝臓は約2倍にも増やすことが出来るのです。
体内におけるエネルギーの貯蓄のシステムを理解しておくことで、競技開始時間に合わせてエネルギーの貯蓄量を最大限にしておくことが可能になります。
ボローディングによる効果とは?
カーボローディングによる効果は主に二つあります。
一つ目は、持久力の向上です。
先述した通り、カーボローディングを行うことで筋肉中のグリコーゲンを幅広く増加させることができます。場合によれば、通常の150%ものグリコーゲンを蓄えることが出来るため、筋力を偏りなく持続させられるのが大きな効果です。
二つ目は、筋肉の肥大化です。
体重を減量した際にしぼんでしまった筋肉をカーボローディングによって糖質を摂取することで、一時的に筋肉を肥大化させることができます。
目的別:カーボローディングが適しているスポーツ
カーボローディングの効果は、①持久力の向上②筋肉の肥大化であるとお伝えしました。
この効果からカーボローディングを実践するとパフォーマンスなどの向上が見込めるスポーツをご紹介します。
長時間筋肉を使うスポーツ
一つ目は、サッカーやマラソン、水泳や自転車競技、格闘技など、長時間筋肉を動かし続ける持久力を要するスポーツです。
カーボローディングによって長時間であっても、最後まで均一のエネルギーでパフォーマンスすることを可能にさせます。
試合終盤にエネルギー不足となってしまうことを防ぐことができるのです。
筋肉で魅せるスポーツ
二つ目は、ボディビルやフィジークといった、筋肉の魅せ方を目的としたものです。
筋肉の大きさやハリを重視する人は、短期間のカーボローディングを行い、減量した状態の筋肉に一気に糖質を送り込むことで、筋肉を肥大化させることが出来るのです。
筋肉の肥大化が目的である場合、同時に水や塩分も抜く必要性があります。
カーボローディングで注意したいポイント
このように、目的別にメリットが存在するカーボローディングですが、いくつか注意点も存在します。
マラソンなどの長時間パフォーマンスが必要であるスポーツなどには有効ですが、5分以内などの高強度のスポーツにおいては、カーボローディングの力を発揮することは難しいです。
また、グリコーゲンが筋肉に貯蓄する際、1gのグリコーゲンに対して3~5gの水分と結合します。そのために、カーボローディングを行うと体重が1~1.5㎏ほど増加します。
栄養を蓄えられたとしても、体重増加によってパフォーマンス力が低下してしまう競技には注意が必要です。
カーボローディングの正しい食事方法
カーボローディングについて、基本的な仕組みとその効果などをお話ししました。では、いざ実践するにはどのような食事方法が良いのでしょう?ここでは、カーボローディングを行う日にち別にご紹介します。
試合3日前の食事方法
本番3日前ほどから、一気に糖質の高い食事に変換していくのがおすすめです。
一般的に、この時期の食事の70%は糖質で賄うのが良いとされています。
ご飯やパン、麺類を中心とした食事に変えていきます。野菜や肉、魚の摂取は不要ですが、芋や根菜などであれば構いません。
糖質を摂取するために、菓子パンなどの甘いものを食べるのも良いですが、脂質を多く含む洋菓子などは避けた方が無難です。
試合前日の食事方法
前日は、消化の良さと脂質を考え、普段よりも多めの白米が最適です。
発芽玄米も消化が良く、糖質の代謝を促進させるビタミンB1も豊富であるのでおすすめです。
朝・昼・夜ともに炭水化物を主食にし、肉や魚の主菜、そして野菜をメインとしたおかずにすることで、栄養バランスをとることが大事です。
基本的には、米を主食としたいところですが、パンが良ければフランスパンやベーグルなどの低脂質なものにすると良いでしょう。
試合当日の食事方法
当日は、とにかく消化の良さを重視するべきです。
試合前の食事が体内に残っている状態だと、体が重く感じたり、腹痛につながったりする原因となります。
消化時間を換算して、試合2時間前には食事を済ませておくのが無難です。
具体的な食事方法としては、主食には消化の良い白米や餅、主菜には加熱した卵を、そして副菜は消化が良くて糖質もたくさん含んだ根菜類がおすすめです。
試合2時間を切ってもお腹がすくようであれば、糖質多めのゼリー飲料やバナナ、100%ジュースなどで補うとよいです。
さいごに
カーボローディングは、長時間パフォーマンスするためには最適な食事法です。
仕組みと効果をしっかりと理解しておけば、より一層効果が発揮できることでしょう。
カーボローディングは、ただ単に糖質をとればよいというわけではなく、正しい食事方法で行う必要があります。
実践する際は、無理のない範囲で行うとよいでしょう。
